「なぜもっと簡単にできないのか説明しろ」という経営者の愚かさ

これは、システムを導入する際や仕様変更する際など、ベンダーにお金を払って対応してもらうときに経営層からよく聞かれる言葉です。

これを聞く背景としては、ベンダーの見積額が高いと感じたり、対応期間がかかりすぎだと感じたり、ということが主なものです。
しかし、ここでいくつか疑問が湧いてきます。

①ベンダーの見積額が高いと感じた場合
  ITに関してド素人である経営層の人が、なぜ見積額が適正でないと判断できるのか?

②対応期間がかかりすぎだと感じた場合
  ITに関してド素人である経営層の人が、なぜもっと早くできると判断できるのか?

例えば、自宅を建てる場合に、
 ・見積額が適正か
 ・工期は適正か
なんて、普通の人は判断できませんよね?

当然です。
だって、建築の基礎知識も無いド素人が、そんなこと分かるわけないですもん。
仮に、「なぜもっと簡単にできないのか説明しろ」と業者に求めたところで、説明の内容なんて半分も理解できないでしょう。

私も未だに理由が分からないのですが、なぜか日本の経営層の方々はITに関しては全てを理解しようとします。
そのために、ベンダーや情報システム部の人に、「なぜそんなにかかるのか」「なぜもっと早くできないのか」を分かるように説明しろ、と要求してきます。

これは、傍から見てると滑稽でしかありません。

基礎知識すら持っていない人に、どうやって分かるように説明しろと?

掛け算を知らない人に、物理法則を分かるように説明しろと言ってるようなもんですよ。
もしくは、会計を全く知らない人に、簿記1級の内容を分かるように説明できるんですか、と。

もちろん、相手の知識レベルに合わせて説明することは可能ですが、あまりにも知識レベルが低すぎます
昨今、大学ではゆとり教育の影響で九九が分からない学生や漢字をあまり知らない学生が増えており、教員がどのように講義をしてよいものか四苦八苦しているそうですが、状況的にはこれと似ています。

ズブの素人がITのことを簡単に理解できると思っていること自体、はっきり言って傲慢ですし説明してもらう人に失礼です。

大体、近年はITの成熟度が企業の競争力を左右する環境下なのに、基礎知識すら勉強しないというのは、経営層としては怠慢でしかありません。
結局、ベンダーやシステム部からの説明を殆ど理解できず、お互いに無駄な労力と時間を費やすことになるのです。

経営層がちょっとITの勉強をしてれば、意思の疎通が容易になって、効率良く事が進むはずなんですがね。
自分の無知のせいにも関わらず、説明の内容が理解できなければ、一生懸命説明したベンダーやシステム部を叱責する人もいます。

ホントに、あんた何様よ?

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ちなみに、先日こんなやりとりがありました。

私が担当している新基幹システムとは別に、予算管理システムが先日稼働しました。
しかし、稼働して2週間後、必要な配賦機能が盛り込まれていないことが判明し、一部帳票で仕様変更が必要になりました。

予算管理システムについては、費用をケチるために一部内製化を行っていますが、内製しているシステム部の人は他システムの開発プロジェクトも兼務しており、激務の状態にあります。

そのような余力の無い状況もあり、かつパッケージなのでうかつに修正することもリスクが高いことから、システム部の課長は部長とも相談し、この仕様変更についてはベンダーに発注する方針としました。
そして、その稟議書を申請したところ・・・
専務が激怒してシステム部のシマにやってきました。

そして開口一番、「なぜベンダーに発注するんだ!こんなもの、システム部で修正すれば済むだろう!」と、部長・課長に怒鳴り散らしました。

あーあ、また来たよ馬鹿が。(呆)
コイツ、ウッセーんだよな。ド素人のクセに。

専務:「こうこうこうすれば、簡単にできるはずだろう!システム部はこんなこともできないのか!」
課長:「見た目は簡単に変えられますが、内部処理を修正した場合の影響範囲が見えず、リスクを避けてベンダーに発注することにしました。」
専務:「そういった影響範囲の把握も含めて、システム部がパッケージを解析すべきじゃないのか!」
課長:「余力があればそれも可能ですが、うちの部にはそれをできるだけの余力がありません。」
専務:「内製しているのに、なぜ未だに分からない箇所があるんだ!」
課長:「パッケージの仕様は、全てが当社に公開されているわけではありません。深い部分の機能は、ベンダーにしか分かりません。」
専務:「外注するだけのシステム部なら、意味が無い!外注するなら、なぜ簡単にできないのか納得するように説明しろ!
部長・課長:「・・・・・・・・」

もはや、老害でしかありません。
そんなに簡単にできるんなら、お前がやれよ。

こんなこと言ってくるようなド素人に、何をどう説明したって理解させることは不可能です。(時間のムダ)

唯一賛同できたのは、「外注するだけのシステム部なら、意味が無い」というところですかね。
確かに、システム部なら内製もやって然るべきです。
ただし、体制が整っていればの話ですが。

当社のシステム部のような少人数体制でやっているところに対して、あれもこれも内製しろというのはナンセンスです。
内製はすべきですが、ちゃんとそれに見合うだけの要員を採用し、体制を強化することが前提です。

なんですが、どうせ要員を増やすのは人件費がかさむからヤダん、って言われるのは目に見えてますけどね。

カネは出さない、でもとにかく早くやれ・・・
いい年こいて、駄々っ子よりもタチが悪いです。


世のITオンチな経営層の方々に物申したい。

近年、ITに詳しい人が経営している会社は、ほぼ例外無く成功を収めています。
それは、経営層とシステム部門の間のコミュニケーションが円滑に進んでおり、IT武装が進むスピードが早いからです。

ちょっとは、あなた達も見習ってITのことを勉強しなさい。
どうしても勉強したくないなら、ド素人がプロに口出しないこと。
かえって邪魔をしてるだけになりますので。


以上。

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Author:たみおと
36歳にして社内SEに転職しました。
ベンダーSE・社内SEどちらの方が記事を読んでも、ご参考になる体験談をUPしていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

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