ベンダーに過剰な値引きを要求するリスク

ベンダーSEだった頃、追加開発の工数見積りをユーザーに説明しに行ったときに、「こんなにかかるの!?」とか「もうちょっと工数を抑えられない?」などという、いわゆる値引き交渉がしばしばありました。

私の見積りは、自分で言うのも何ですが、結構良心的というか妥当な工数を出していたと思います。
少なくとも、不当に工数を積上げたことは一度もありません。

しかし、その工数からさらに値引きしてくれ、となると「どこを削ればいいんだ?」ということになります。
こういうことが続くと、結果として、SIerの担当者が値引きを見越して、私が出した見積りにさらに上積みした見積りをユーザーに持っていくことになります。
彼らも利益を確保しなければなりませんからね。

つまり、ユーザーとしては、
 ・値引き成立
  ⇒ 妥当な工数になる
 ・値引き不成立
  ⇒ 多めの工数になる
  ⇒ ベンダー丸儲け
ということで、一体何のための値引きなのか分からなくなります。
(値引きしても、何も得をしていません)

ただ、ユーザーがなぜ値引きをしたがるのか、社内SEになって分かったような気がします。

8月に現在の会社に入社してからというもの、パッケージやサービスなどの購買を行っている様子をよく目にします。
(私は一切絡んでませんが)

そこでよく話題になるのが、「こんな金額じゃ稟議が通らない」「必ず相見積りを取れ」という話です。

まぁ、相見積りを取ること自体はどこの会社でもやっていることですし、そんなに違和感のあることではありません。

ですが、社内SEになってから異常だと感じていることは、購買に関わる「社内稟議の厳しさ」にあります。

ちなみに、うちの会社では、ベンダーが出してきた見積りに対して「半値八掛け」が基本となります。
つまり、4割引きを必ず要求する、ということになります。

そして、この「値引きさせてコストを抑えました」という実績が無ければ、稟議が通らないのです。

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6月にベンダーSEから当社のシステム部に転職してきた方がおり、その方は最近購買に関わるようになりましたが、やはり私と同じように異常な値引きに違和感を抱いています。

彼としては、できるだけ妥当な値段でベンダーに発注したいという思いがありますが、上司である課長・部長がそれをさせてくれません。
課長・部長も、さらにその上からの圧力により、たとえ妥当な見積りだろうと値引きをしなければ稟議が通らないことを悟っているからです。

かくして、値引きに成功してめでたしめでたし・・・かというと、そんなことはありません。

冒頭に書いたように、ベンダーは値引きを見越して、始めからから高めの見積りを持ってくるようになります。
もしくは、金額に応じたレベルまで、サービスレベルを下げてきます。
(トラブル時の即応性を下げたり、スキルの低い要員をあてがう等)

結局のところ、こちら側として得していることは、やはり何もありません。

私の会社を一例として挙げましたが、これは日本の多くの企業で行われている悪習です。

提示された見積りが明らかに高すぎる場合に、妥当な値段まで値下げ要求することは、至極まっとうなことだと思います。
しかし、妥当な金額からさらに値引きを迫るということは、相応のリスクを払うことになります。

あくまで、目先の金額ではなく、導入後まで含めたトータルのコストで見積りを判断すべきだということを、ユーザー企業は認識する必要があります。(特に経営層のITに疎い人達)

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プロフィール

Author:たみおと
36歳にして社内SEに転職しました。
ベンダーSE・社内SEどちらの方が記事を読んでも、ご参考になる体験談をUPしていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

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