ベンダーSEが抱える維持保守工程のジレンマ

情報システムを開発する際、稼働後の維持保守工程は欠かせないものです。

これは、ユーザー企業からすると、トラブル対応や問い合わせ対応をアウトソーシングしていることになり、その分システム部の要員を他の仕事に回せます。
また、ベンダーからすると、顧客の囲い込みができ、かつ赤字リスクが無い状態で細く長く売上が見込める、オイシイ工程でもあります。

まさに、利害関係が一致していると言えますが、この工程で働くベンダーSEにとってはどうでしょうか。

私もベンダーSE時代には、維持保守工程を3プロジェクト経験し、11年間のSE経験のうち、約半分の年数をこの工程で過ごしました。
その中で得たものは、開発プロジェクトのときも役に立ちましたし、社内SEに転職した現在でも活きていると実感しています。
なので、ベンダーSEの方でも、やはり1度は維持保守工程を経験しておいた方がメリットは大きいと思います。

が、しかし・・・

何年も同じシステムの維持保守をやっていると、さすがに飽きてくるものです。
また、開発プロジェクトに配属されている同僚を見ていると、置いていかれている感もありました。

開発プロジェクトと異なり、稼働してしばらく経つとトラブルも収束して、あまり仕事が無くなります。
このため、帰宅が早かったり、休日がきちんと取れたりと良いこともありますが、仕事中はヒマ過ぎて、定時までの時間が苦痛だったりします。

ここまでの状況になると、もはや維持保守で身に付けるものは殆ど無くなり、惰性で日々過ごすようになります。

当然、会社としても人材育成として見た場合に良いことはありませんが、冒頭で書いた通り、オイシイ仕事のため人材育成は二の次になります。
事実、前の会社は「人財を大事にする」ことを高々と掲げていましたが、実際には保守をメインに人貸しをしていただけですので、会社は基本的に信用できません。

要員交代という手もありますが、基本的に仕組みを良く理解してくれている担当者を、ユーザーが易々と手放してくれるはずもありません。

結果として、維持保守に一度入ってしまうと、そこから抜け出すまでの数年間、飼い殺し状態になります。

私はこの飼い殺し状態を、維持保守プロジェクト3つのうち、2つで経験しました。

当時の上司には、「飽きたから開発の仕事がしたい」という要望をあげていましたが、中々実現せず、ズルズルと引き延ばされていきました。

しかし、私の場合は、まだマシな方かもしれません。

私の同期には、約10年間、新人のときに配属された維持保守プロジェクトから抜け出せなかった人もいました。
彼はよく、「開発の仕事をしたことが無いから、ここを抜けられたとしても、他でやっていける自身が無い」とグチをこぼしていました。

結局、彼は10年目の途中で抜け出すことができ、他のユーザーの開発プロジェクトに配属されました。
しかし、そのプロジェクトでは、明らかに開発スキルが不足しており、うつ症状を訴えて休職してしまいました。
(そのプロジェクトのリーダーと飲みに行ったときに聞いた話です)

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何年も経過した状態での維持保守は、開発プロジェクトと比較すると、正直言ってぬるま湯です。
別に、そこで働く人達が悪いわけではなく、環境自体がそうなってしまいます。

このため、長くそのぬるま湯に浸かっていると、SEとして必要な能力が身に付かなかったり、新しい技術に触れる機会が無いまま年齢だけを重ねていきます。
そして、いざ開発プロジェクトに配属されたときに、通用しにくくなります。
また、当然転職の際にも、アピールすることが少なく、面接の受け答えが苦しくなります。

今現在、ご自身が飼い殺し状態になっていると感じている方は、要員交代の要望を出すなど、早急に環境改善に取り組むべきでしょう。
もちろん、転職も視野に入れることも、一つの手段かと思います。
(転職先で同じ状態にならないよう、転職先を十分に吟味しなければなりませんが)

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プロフィール

Author:たみおと
36歳にして社内SEに転職しました。
ベンダーSE・社内SEどちらの方が記事を読んでも、ご参考になる体験談をUPしていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

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