中小ITベンダーは働き方改革の最終調整弁になるかも

最近、働き方改革が熱を帯びてきているのは周知の通りですが、その殆どは長時間労働を是正するだけというお粗末なものです。

労働基準法では残業は原則認められていませんが、36協定を結ぶことによって月45時間までは残業させることができるようになります。
さらに、特例条項を盛り込むことで、年間6回まで月45時間を超えて残業させることができます。
これは本来、繁忙期などの臨時的な業務に対応するために設けられている制度です。

そして、国会ではこの上限時間を100時間に制限するという議論がなされていますが、的外れもいいところです。

違法残業させているような会社が、そもそも上限時間なんか気にしているわけありませんから。

それよりも、労働局による抜き打ち監査の頻度を増やすなりして、経営者への牽制力を強化することが必要です。
まあでも、これをやると叩けば出てくるホコリのように数多くの会社が摘発されることでしょう。

IT業界、とりわけ下請けベンダーはこの傾向が強く、多重下請け構造の下層にいくほどブラック度が高くなります。
(年がら年中繁忙ですから)

私が前いた会社は二次請け・三次請けが中心でしたが、残業時間が100時間を超えることなどザラにありました。
むしろ、100時間は平均よりちょい上な程度で、150時間を超える人も珍しくありませんでした。

その上、賞与の査定は残業時間が多い人ほど高評価でしたので、あたかも会社ぐるみで長時間労働を推奨しているかのようでした。
社長も再三再四、「当社社員はタフであれ」と社員に言い続けていました。
要するに、馬車馬のように働かせるけど壊れないでねってことですね。

スポンサーリンク


それもこれも、人手不足による弱いプロジェクト体制かつ短納期に加え、ユーザーやSIerのムチャな要求による度重なる手戻りが原因です。

このような状況下で、ユーザー企業や大手SIerは続々と冒頭の働き方改革、つまり長時間労働の是正に取り組んでいきます。
少なくとも、残業時間が上限を超えそうな社員に対しては、休みを取らせたり早く帰宅させるように指導するでしょう。

こうなると、しわ寄せは次第に下請のベンダーSEに移っていきます。

短納期なのでベンダーSEは長時間労働でそれをカバーしようとしますが、ユーザー担当者やSIer担当者とコンタクトを取りたくても、出勤していなかったり定時で早々に退社していたりするケースが発生するようになります。
また、ユーザー担当者やSIer担当者に依頼していた作業などが滞るようになる可能性もあります。

こうなると、急いで確認や調整しなければいけない事項が翌日以降にずれ込み、そういったことが蓄積していくことでプロジェクトの進捗に深刻な影響を及ぼすようになります。
日本では、こんな矛盾した状況の中でも決して納期が延びることはないため、最終的に下請ベンダーのSEが更なる長時間労働で尻拭いを強いられることになるのです。
つまり、ユーザーやSIerは働き方改革が一見上手くいってホワイト企業化が進むかもしれませんが、その裏では多くの中小ITベンダーSEが調整弁の役割を強いられ、下請業者のブラック企業化が加速していくと考えられます。

これが長期化すると、ベンダーSEも耐えられずに退職する人や病む人が続出するようになり、残された人達に一層の負荷がかかり、また退職者が増えるという悪循環に陥ってしまうでしょう。

働き方改革が沸騰しているのも結構ですが、納期の見直しやユーザーの無理な要求をはね付けられる状況が作れなければ、中小ITベンダーは次々と潰れ、結果的にIT業界全体が崩壊していく危険性も秘めていることを、経営層は念頭に置いて欲しいものです。


還元率の高いポイントサイトで、ハイペースでポイントが貯まります ポイントサイトのポイントインカム

獲得ポイントの高いアンケートサイトで、効率的にポイントが貯められます infoQ新規会員登録

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:たみおと
36歳にして社内SEに転職しました。
ベンダーSE・社内SEどちらの方が記事を読んでも、ご参考になる体験談をUPしていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

検索フォーム
ブログランキング
よろしければ、ポチっと一押しお願いします。m(__)m

ブログランキング・にほんブログ村へ
カテゴリ
よく読まれている記事
最新記事
おすすめ書籍
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

なぜ、システム開発は必ずモメるのか? [ 細川義洋 ]
価格:2160円(税込、送料無料) (2016/11/7時点)



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

絵で見てわかる RPAの仕組み (絵で見てわかる) [ 西村 泰洋 ]
価格:2786円(税込、送料無料) (2018/7/30時点)



月別アーカイブ
リンク