ITベンダーに派遣事業改善命令がでました

11/28に、東京労働局より中小ITベンダー「株式会社リンクアット・ジャパン」に対して、派遣事業改善命令が出ました。
発表資料

ITベンダーに対する行政処分は、今年の2月にも「ユナイテッド・ネットワーク株式会社」と「株式会社YSLソリューション」にもありました。
このときは、非常に悪質だとして派遣事業停止命令が下されましたが、今回は改善命令なので多少はマシ。
詳細はコチラ。

話は戻って、リンクアット・ジャパンに対する改善命令が出た原因は、違法行為のメジャー格である「多重派遣」が行われていたためです。
(ちなみに、他には「偽装請負」なんてのもメジャーです)

多重派遣を簡単におさらいしておくと、「他社から派遣してもらった技術者を、さらに別の会社に派遣すること」です。
こうすることで、自社は技術者を雇用するというリスクを負うことなく、人身売買の利ざやを手にすることができるわけです。
しかし、労働者派遣法では認められておらず、他社に派遣できる労働者は、「自社で雇用している労働者」に限られます。

では、リンクアット・ジャパンの手口はどうかと言うと・・・

①他社から技術者を「出向」契約で受け入れる ※実態は派遣
②受け入れた技術者を、他社に「派遣」契約で派遣する


「①が派遣契約じゃないんだから、多重派遣にはあたらないよね。てへっ。」なんて感じで、上手い抜け道を見つけたと思っていたのだとしたら、あまりにも無知な人達です。

※今回は派遣元会社と派遣先会社の会社名は公表されませんでしたから、「リンクアット・ジャパンが多重派遣をしていたことは知らなかった」で押し通すことができたのでしょう。

多重派遣は当然のことながら違法行為ですが、長らく中小ITベンダーの飯の種となってきたため、多くの企業がこぞって法律の抜け道を探してきた経緯があります。

ただ、多重派遣・偽装請負の判断は、契約形態だけでなく「実態がどうか」も基準となります。
今回の場合、いくら契約形態が「出向」であっても、実態が労働者派遣であれば「派遣契約」と見なされます。
まぁ、普通に考えて、出向者を派遣するなんて不自然ですから、すぐにバレますよね。(笑)

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ちなみに、ここ5年ぐらいでよく使われるようになった「SES契約」も、労働局がその気になれば摘発される会社は沢山出てくると思われるほど違法性の高いものです。

ただ、SES契約自体には違法性はありません。
これは単に、システムに関わる業務をアウトソーシングする「委託契約」に過ぎませんので。

問題は、SES契約を使って下記のような手口で「労働者供給」をしている会社が多いということです。

<パターン1>
 ①技術者を他社からSES契約で受け入れる ※実態は派遣
 ②受け入れた技術者を派遣契約で他社に派遣する


<パターン2>
 ①技術者を他社から派遣契約で派遣してもらう
 ②派遣してもらった技術者をSES契約で他社に常駐させる ※実態は派遣


私が転職する前の会社は、パターン2が多かったように思います。

私もパターン2で大手SIerに常駐していたことがありますが、大手SIerでは内部監査が定期的に行われており、違法行為が行われていないか各部門に対して監査が行われます。

そのとき、私が常駐していた部門の部長・課長が、私や他のメンバーに口裏合わせを要求してきました。
(私以外のメンバーは、他社から派遣してもらったSE)
なにせ、SES契約では認められていない、下記のようなことが普通に行われていましたから。

①ユーザー企業のシステム部門との打ち合わせに出席する
②ユーザー企業のシステム部門から電話やメールなどで直接問い合わせを受ける
③私の下のプロジェクトメンバーに、SIerの担当者が作業依頼したり直接指揮を行う


①・②は、あくまでSIerから委託されているので、委託元でないユーザー企業と直接やり取りをすること自体が禁じられています。
③は、SIerから作業依頼ができるのはあくまでリーダーである私に対してのみで、メンバーへの作業依頼や指揮命令は私しか認められていません。

これらのいずれかに抵触すると、実態は派遣契約だと見なされ、私以外のメンバーが多重派遣だということが明るみになり、プロジェクトが破綻してしまいます。

尚、前の会社の専務があるとき、「あの現場に常駐している他社の○○さんは派遣契約になったらしいのに、たみおとはなぜ派遣契約になれないんだ?信頼されてないのか?」なんてことを平然と言っていたことがありました。

○○さんは1人で来てる上に、PMOとしてユーザーとの打ち合わせにも出席しなきゃいけないから派遣契約になっただけでしょ?
まぁ、SES契約の私も出席してましたけど。(苦笑)

他社から派遣してもらった人が下にいる私まで派遣契約になってしまったら、私の下のメンバーを誰が指揮していることにするんですか?
監査に入られると口裏合わせすらできずに一発レッドカードですよ。

株式会社リンクアット・ジャパンもそうかもしれませんが、これだけ多重派遣や偽装請負がIT業界で問題になっているのに、役員クラスですら派遣法をロクに勉強していないのです。

恐らく、今後もこういった行政処分を下される中小ITベンダーは後を断たないでしょう。。。

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プロフィール

Author:たみおと
36歳にして社内SEに転職しました。
ベンダーSE・社内SEどちらの方が記事を読んでも、ご参考になる体験談をUPしていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

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